The Stranglers

The Stranglers は、1970年代にデビューしたイングランド出身のパンク・ロックバンド。
当時勃興していたパンク・ロックのムーヴメントと同時期に顕われたが、その他のパンクスと比較して、それぞれが特異なキャリアを持った練達の年長者が集まったバンドでもあり、ニューウェーヴの先駆者ともいえる独特の耽美的でインテリジェントな音楽性で評価を受けた。
23枚のシングルと17枚のアルバムをトップ40に送り込むなど、パンクシーンから現れたバンドとしては最も成功したバンドの一つに数えられる。

スウェーデンで生物学の研究のかたわらJohnny Soxというバンドで活動をしていたHugh Cornwell(ギター、ボーカル)は、1974年にイギリスに戻り、J.J. Burnel(ベース、ボーカル)、Jet Black(ドラムス)、Dave Greenfield(キーボード)らを誘いストラングラーズを結成した。後にHugh Cornwellは、音楽に生きるよう「神の啓示」を受けたと語っている。
活動開始当時はハードロックとプログレッシブ・ロックが主流であり、仕事にありつきたければ髪を伸ばすこと、長いギターソロを弾くこと、ベルボトムを穿くことを要求されるようなこともあった時代であり、ストラングラーズの過激な演奏と言動、ファッションはそれらとははっきりと異質のもので、なかなか仕事を得られなかった。しかしその非ハードロック的な硬質の攻撃性と非プログレ的でラディカルな知性の混淆する新奇な音楽は次第に支持を広げ、イギリス全土を股にかけて毎日のようにライヴを行うまでになった。
人気と共に右翼団体との間に軋轢を生じ(当人たちは「俺たちは右翼でも左翼でもない、ニュー・ウィングだ」と韜晦していた)、またザ・クラッシュと乱闘騒ぎを起こしたこともあった。さらにはトラブルから大御所ローリング・ストーンズの楽屋を襲撃したことがあり、知性を伴った隙のない暴力性や狂気を恐れられる時期もあった。

メジャーデビューを果たしてからは、初期の4アルバム『Rattus Norvegicus』『No More Heroes』『Black and White』『The Raven』をUKチャートのトップ5に送り込み、代表的なパンクバンドとして、あるいはニュー・ウェーヴの旗手としてイギリスの若者に大きな影響を与えるようになった。
1980年代に入ってからは『The Gospel According to the Meninblack』『La Folie』『Feline』『Aural Sculpture』『Dreamtime』とコンスタントにアルバムを発表した。これらのアルバムでは狭義で言うところのパンク的な要素は影を潜め、プログレやアート・ロック、ゴシック・ロックなどからの影響を感じさせるインテリジェンスとリリシズム、ヨーロッパ的湿潤と陰翳に富む内省的なアプローチが目立ちはじめた。

この頃から当初のパブリックイメージとのズレからか、日本での一般的な人気は下降線をたどったが、本国イギリスでは深い精神性と耽美的なメロディが高く評価され、ヒットチャートにも入り続けた。イギリスにおいては、この時期以降のアルバムは、初期のアルバムよりもむしろ高い評価を受けている。

1990年に、バンドとしての方向性に限界を感じたHugh Cornwellが、10thアルバム『10』を最後に脱退してソロ活動を始めたが、ストラングラーズは他の3人のオリジナルメンバーを中心に新メンバーを加えながら、40年以上の長きに渡り一度も解散せず、現在も精力的に活動を続けている。(ウィキペディア)