Deathwish (1984) / Christian Death

退廃と怪奇に究極の美を見い出す悪魔主義的思想に果てしない憧憬を抱きながら、自我の内面に存在する現実を鋭くリアルに描写するChristian Death。彼らの2作目にあたるこの作品は、新曲3曲に先のファーストアルバムから3曲をミックスして加えたミニLPで、84年初頭、フランスのL’invitation au suicideレーベルよりリリースされた。察せられる通り、内容的には前作の延長線上に位置するものであるが、世紀末へと向かう日常的な苦悩を通じて最終的に死界への逸脱を懇願する「Death Wish」という姿勢をもって、ここにこれまでの連続性に対する一応の結末を見ているといえよう。空想と現実、幻影と真理、神聖なるものと邪悪なるものが奇妙に交錯する死とエロスの世界。これをまざまざと形象化することろに彼らの音楽性の意図するものがある。が、同時にある種ポップ感覚や感受性、またラディカル性といったものも兼ね備えていることを、1つの重要な魅力として見逃すことができない。(宝島WAVE Indies 1986年1月25日発行)